はじめに|夫婦同時育休とは?
夫婦同時育休とは?
最近は、出産や育児に関する休業制度が充実してきました。
周りでも、育児休業を取得する男性が増えてきたな~と感じませんか?
夫婦が同じ時期に育休を取得するケースでも、雇用保険からそれぞれに育児休業給付金が支払われます。そのため、夫婦で同時に育休を取得するパターンも増えてきています。
このページでは、同じ時期に夫婦で育休を取得することを「夫婦同時育休(または二人同時育休)」とし、実際にやってみて感じたメリット・デメリットをご紹介していきます。
この記事を書こうと思ったきっかけ
こんな方に読んでほしい
「育休取ってみようかな」
「育休取ったほうがいいの?」
「本当に休むことは必要?」
育児休業に関する制度や世間の捉え方が少しずつ変化する中、ママだけでなくパパも、妊娠を機に、こんな風に考える機会が、増えてきたのではないかと思います。
我が家も、第一子の妊娠を機に、夫婦同時育休を取ることにしましたが、実際に経験があり、自分たちが相談できそうな方は、周りにおらず…。書籍やインターネットで情報を探しながら、探り探り進めていきました。
私たちの経験が、
・夫婦同時育休を取得しようか迷っている
・夫婦同時育休を希望しているが、いろいろ不安がある
・同時に育休を取るか、タイミングをずらして一人ずつ育休を取るのか迷っている
という方の参考になればいいなと思い、記事にまとめてみることにしました。
夫婦のかたちや、子育てに正解はないと思います。
ひとつの家族の経験に基づく内容ですが、たくさんある夫婦や家族のかたちの1つの例として、参考程度に読んでいただければ幸いです。
我が家の同時育休|約6か月の二人同時育休
結果的には、約6か月間の「二人同時育休」を取得した我が家。ここでは育休取得までの流れをご紹介していきます。
夫から「僕も休んでみたい」
きっかけは、夫のこの一言でした。
結婚から約1年が経ったころ、将来的には子どもが欲しいと思っていた私たちは、妊活をスタート。
なかなか自然妊娠には至らず、通院しながらの妊活をスタートさせた矢先、第一子を授かることができました!
はじめての妊娠。私は「いつから産休に入るのか」「育休はとるのか、それとも退職か」など、制度のことを調べながら、二人で今後のライフプランについても話し合うようになりました。
そんな中、ある日、夫が
「僕も休んでみたい」
と。
よく話を聞いてみると、夫の職場では、男性の育児休業取得者も増えてきているようで、数日だけでなく、数か月単位で取得している人も周りにいるとのこと。
「一緒にできるなら安心だよね」
「育児休業給付金もあるし、やりくりすれば何とかなるよね」
と楽観的な私は、快く了承。こうして「二人で育休を取る」という方向性が固まりました。
計画期 いつ・どれくらい休みを取る?
とはいえ決めたのは ”なんとなく”
初めての妊娠で戸惑いながら、仕事に追われる毎日で、具体的な計画を立てる余裕がなかなかありませんでした。
そもそも、男性の育休は「出産後からが本番」という意識もあり、私(妻)が産前休業に入った妊娠9ヵ月半ばごろまで、時期や期間は未定のまま。
育児のどの時期が大変なのかという知識もなかった私たちは、「とりあえず生まれてから考えよう」くらいの気持ちでいました。
しかし、仕事を休むということは手続きも必要。出産1ヵ月前くらいに、いよいよ職場に申請が必要!ということになり、ようやく決まった夫の育休プランがこちら
時期:生後1ヵ月ごろからスタート
(産後1ヵ月は実家に帰省し、サポートが受けられる予定だったため)
期間:6ヵ月間
(半年を過ぎると育児休業給付金の支給率が下がるため)
で育児休業を取得することになりました。
いよいよ二人同時育休生活スタート
出産を終え、約1ヵ月の里帰りを経て、いよいよ家族3人での生活がスタート。
同時に、我が家の「二人同時育休」も本格的に始まりました。
体験してみて感じたメリット
メリット1:子どもの成長を一緒に見守れる
「夫婦で同時に育休を取ってよかったな」と思ったことの一つが、子どもの成長を一緒に見守ることができたという点です。
私たちは、第一子の時に二人同時育休を取得しました。初めての育児は右も左も分からないことだらけ。でもその分、日々の子どもの成長には嬉しい驚きや発見もありました。
例えば、生後3か月の頃、初めて排便がない日がありました。
翌日も排便がなく、それまで毎日出ていたので、私たちは少し不安に。
「綿棒浣腸してみる?」
「おなか、さすってみてあげようか」
と、ちょっとした不安を共有しながら、子どもに向き合ったのを覚えています。
ちょうど同じころ、寝返りを練習している息子を見ながら、
「寝返り練習しているみたい」
「ほんとだね~」
と言っていたら、あっという間に一人で寝返りできるようになってしまったのも、今ではいい思い出です。
二人で同時に育休を取っていたからこそ、こうした「ささいな」戸惑いや嬉しい出来事を「すぐに」共有して、一緒に子どもの成長を見守ることができました。
常に一緒に過ごし、時間に余裕があるからこそだなと感じました。
どちらか一方だけが育児をしていたら、こういう小さな変化や喜びを「その場ですぐ」分かち合うことは、なかなか難しかったのではないかと感じています。
メリット2:家事育児の「分担」や「共有」ができる
夫婦同時育休をとって、我が家としてのメリットが大きかったのは、家事を「分担」したり「共有」したりできた点です。
我が家の場合、家事については、基本的な分担は決めつつ、育児については、その日の体調や気分によって流動的に役割を分けるスタイルにしました。
例えば、食事づくり。
昼食は基本的に夫、夕食は基本的に私(妻)。調理しなかった方が片付け、というルールも決めていました。
昼食を夫に任せることで、私は午前中に「授乳のタイミングと昼食の支度が重なる!」と焦ることがなくなり、気持ちに余裕をもって赤ちゃんと向き合うことができました。
一方、子どもとの入浴は、その日にやりたい方が名乗り出るかじゃんけんで決めることに。
どちらか一方だけに偏らないようにして、お互いに育児スキルを高めることを意識していました。
こうして、家事も育児も「片方だけがやる」のではなく、日々二人で協力しながらやる感覚を持てたのは、とても大きな収穫だったと感じています。
結果的に、二人とも「一人でもワンオペできるくらい」の家事力・育児力を身につけることができました!
メリット3:育児についての考え方を話し合う時間がある
我が家の場合、二人同時育休をとったのは第一子の時でした。
初めての育児で、迷うことや悩むこともたくさんありましたが、
「どう育てていきたいか」
「どんな風に子どもと関わっていきたいか」
といった、育児に対する価値観をじっくり話し合う時間がもてたのは大きなメリットでした。
家事も育児も「分担」したり「共有」したりすることで、お互いの意識の違いや、認識の違いも明らかになりました。
もちろん、同時に育休を取っていなくても、話し合いの機会をもつことは大切だと思います。
ただ、どちらか、もしくは両方が仕事をしていると、
仕事の疲れや、翌日の仕事のスケジュールなどを気にして、なかなか落ち着いて話せる時間が取れないことも多いはず
「なんだかモヤモヤする」
という時に、翌日の予定を気にせず、とことん話し合える。
この環境は、二人同時育休ならではの大きなメリットだと、何度も実感しました。
メリット4:一人時間がとりやすい
育児中は、なかなか「ひとりになる時間」がとれず、気づかないうちに疲れがたまりがちです。
でも、二人同時育休だったからこそ、交代で休憩を取ったり、ちょっと買い物に出たりと、リフレッシュの時間を確保しやすかったのは、ありがたかったです。
体験してみて感じたデメリット
デメリット1:金銭面の不安
二人同時に育休をとることは、精神的にも育児面でも大きなメリットがあります。
しかし、一方で私たちが気がかりだったのは「お金」のこと
「給付金っている入るの?」
特に気になったのは、育児休業給付金の支給タイミングです。
育休中の給付金にはタイムラグがある!
私たちが不安に感じたのは、育児休業給付金がすぐには支給されないという点でした。
実際には、申請から支給まで約2か月ほどのタイムラグがありました。
お給料とちがって、毎月決まった日に振り込まれるわけではないため、食費・家賃・水道光熱費の支払いなどに、一時的な不安を感じることはありました。
我が家がやっておいてよかった事前準備3つ
不安はありましたが、事前に準備していたことのおかげで、実際には大きなトラブルなく過ごすことができました。
①毎月のおよその生活費の把握
日ごろから、家計簿をつけていたことで、
「月にいくら必要か」「削れない支出はなにか」が明確になっていました。
②給付金が支給されるまでの生活費を確保
生活費2~3か月分の余剰資金を準備。
これがあったことで、給付金の支給が遅れても、安心して過ごすことができました。
③出産にかかる費用の備え
出産育児一時金ではカバーしきれない費用(私の病院では約13~15万円くらい)も事前に聞いて、現金で用意していました。
不安を軽くするには「事前の見通し」と「備え」がカギ!
結果的には、給付金のおかげで大きく困ることはありませんでした。
ですが、「いつ入るかわからない」という不確実さが、精神的なストレスになる可能性はあります。
これから二人同時育休を考えている方は、
毎月の生活費の把握
2~3ヵ月分の生活資金の確保
出産にかかる費用の備え
この3つをしておくことをおススメします。
妊娠・出産は家計の見直しのチャンスでもあると思います。ぜひ一度「我が家は一か月いくらで生活しているのか」を考えてみてください。
デメリット2:生活面のストレスや意見のズレ
二人同時に育休をとることで、育児の負担が分散され、精神的にも大きな安心感がありました。
でも、ずっと一緒に過ごすからこそ生まれるストレスもありました。
そのひとつが、生活の中での小さなストレスや夫婦間の意見のズレでした。
些細な会話がストレスに…我が家のケース
育休中は、夫婦で協力しながら家事や育児を進める毎日。
その中で、意外とストレスになったのが「誰が何をするか」のやりとりでした。
たとえば我が家では、子どもとのお風呂は特に担当を決めず、その日の流れで「やりたい方が入れる」というスタイルにしていました。
そんなある日の会話:
- 「お風呂どうする?」
- 「今日は、僕がやろうか?」
今振り返ればなんてことのない会話なのですが、当時の私はこんな風に感じていました。
「『お風呂どうする?』って、私が決めなきゃいけないの?やりたいの?やりたくないの?どっち?」
「『僕がやろうか』って、結局いつも私がやる前提ってこと?」
産後のホルモンバランスの影響もあり、言葉のちょっとした語尾やニュアンスに、必要以上に敏感になっていたのだと思います。
こうした小さなモヤモヤを解消するために、我が家ではあるルールを導入しました。
「やりたい度」で家事・育児を分担
流動的な家事や育児は、その都度、やりたい度(やりたくない度)を正直に言い合うことに。
- やりたい人がやる
- 同じくらいだったら、じゃんけん!
このルールにしてからは、「今日はどっちがやる?」のやり取りがとてもスムーズになりました。
言葉の裏を探る必要がなくなり、気持ちの負担が軽くなったように感じます。
同時育休だからこそ、話し合う時間がある
こうしたストレスの根本は、実は「何がイヤだったのか」「どう感じていたか」を話し合う時間が取れていなかったことでした。
でも、二人同時に育休を取っていたからこそ、
お互いの気持ちや考えをしっかり言葉にして、丁寧に話し合う時間が取れたことも事実です。
ルールと対話でストレスを軽くする
二人同時育休は、育児の負担を分け合える大きなメリットがあります。
その一方で、生活スタイルが大きく変わる分、小さなストレスや意見のズレは避けられないかもしれません。
そんなときは、お互いの気持ちを尊重し合い、話し合う時間を持つことが大切。
自分たちに合った「ルール」や「工夫」で、より心地よい生活を一緒に作っていけたらいいですね。
二人同時育休を経験することで、ストレスや衝突も経験しましたが、「どうすればお互いにとって気持ちよく過ごせるか?」を考えるきっかけになりました。
今までは、家事や育児を「分担」することばかりに気を取られていましたが、
それ以上に「お互いの感じ方の違いを知る」「自分の気持ちを正直に伝えることの大切さ」を学べたのは、大きな収穫でした。
まとめ|二人同時育休のリアル体験から得られたこと
経験してみて、今どう思うか
二人同時に育休を取ることには、最初は少し不安もありました。
でも、実際に経験してみて思うのは「やってよかった」の一言です。
育児の大変さも喜びも、お互いにリアルタイムで共有できたことで、パートナーとのきずながぐっと深まりました。
もちろん、予定どおりにいかないこともありましたが、そんなときでも一緒に悩み、一緒に考える時間があったからこそ、乗り越えられたのだと思います。
同時育休を考えている人への一言アドバイス
もし「本当にできるかな?」「仕事に影響ないかな?」と悩んでいる方がいたら、
ぜひ一度、家族でじっくり話し合ってみてほしいです。
「本当にできるかな?」「職場に迷惑をかけないかな?」
私たちも、同時育休を検討していたときには同じように迷いました。
でも、話し合いを重ねる中で、自分たちにとって何が大切かを見つめ直すことができたと思います。
完璧な準備ができていなくても大丈夫。
「生活費の見通しを立てる」「事前にストレスのもとになりそうなポイントを話し合っておく」など、最低限の安心材料があるだけでも、気持ちがずいぶん楽になります。
一人で抱え込まず、パートナーと一緒に育休について考える時間を、ぜひつくってみてくださいね。
さいごに
育休のかたちは、家庭によって本当にさまざまです。
我が家のやり方が、すべてのご家庭に当てはまるわけではないと思います。
でも、この体験を通して思うのは、「家族の時間をどう過ごすか」は、自分たちで選べるということ。
同時育休という選択肢もあるということを、少しでも多くの方に知っていただけたら嬉しいです。
これから育休を取る方が、より自分たちらしいかたちで育児と向き合えるよう、心から応援しています。